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設計にあたった株式会社北海道日建設計が、 塩害や酸性雨に強いチタンを採用 |
2005年12月2日 | |
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2003年6月に約60年ぶりのリニューアルが行われ、2005年3月に外構工事を終えたJR函館駅の新駅舎。外装のほぼ全面にチタンを使ったモダンなイメージが、函館の新しい顔として好評を博していますので、改めてここにご紹介します。 函館駅といえば鉄道で入る北海道の玄関。また名物函館朝市へのエントランスとしても、全国的に著名な存在となっています。 ところが旧来の駅舎は、戦時下の1943(昭和18)年に建てられた木造建築で老朽化が進行。また1998年から進められている函館駅周辺再開発の用地問題との兼ね合いもあり、若干海寄りに移動して新築されることとなりました。 かつては青函連絡船の発着地でもあり、津軽海峡に面した函館駅では、海からの潮風による塩害対策は必須の条件。そういう中で、「新しい駅舎は100年建築にしたい」との要望が出されました。 基本設計を担当したのは、JR北海道と姉妹鉄道提携を結んでいるデンマーク国有鉄道(DSB)。「塩害のみならず近年問題視される酸性雨にも強い外装を」ということで、スペインビルバオのグッゲンハイムミュージアムなどを視察。その結果、外装にチタンを使用する案が浮上しました。 その意を受けて、実施設計担当の株式会社北海道日建設計と施工担当の大林組JVが主体となり、物件の視察、耐久性の試験、クリーニング剤の確認等を実施し、チタンの採用を決定しました。 新函館駅舎では、意匠面でもチタンの質感を活かすための新たな試みが行われていますが、その1つが、斜め勾配を付けた外装による瓦的なイメージの演出。また表面をダル仕上とすることにより、朝、昼、夜と光線の変化を受けて独特の柔らかな色彩を醸し出します。 壁面を覆うパネル1枚あたりの大きさはタテ560mm×ヨコ3000mmという横長の形状をしていますが、横一列を帯状に加工することでアクセントをつけ、見た目に単調になりがちな金属外装の弱点を回避。フラット面と帯部分の色彩変化が駅外観に豊かな表情を与え、再開発で生まれ変わった周辺のモダンなイメージとも、非常によく調和しています。 さらに機能面でも、寒冷な港町・函館特有の気象条件が考慮され、外壁は2重壁とし、パネルにノンシール工法を採用。壁と壁の間に空気が回ることで結露を防ぐ構造になっています。 駅舎の移転・新築に伴い、旧駅舎のシンボルだった大時計が取り払われましたが、市民や乗客の要望が強かったため、開業後1年余りを経た2004年10月にデザインを一新した大時計が復活。この大時計にも、外装で好評だった新日鐵製チタンが採用されました(時計はシチズンが製作)。また、この大時計では、チタン表面を「酸洗仕上」とすることにより、外壁とはまた一味違ったチタンの質感をアピールしています。 なお、本物件におけるチタン外装・大時計の施工は、地元北海道に本社を置き、金属建材や建具、モニュメントの設計施工ほか、駅建物や交通施設の金属工事でも多数の実績を誇るサンコーリペア株式会社が担当しています。 この新しいJR函館駅舎の建築により、JR北海道が「第49回鉄道建築協会賞作品部門入選」を、施工した大林組が「平成17年度日建賞」を受賞しています ■JR函館駅改築工事 施主:JR北海道(北海道旅客鉄道株式会社) 設計:JR北海道、DSB、株式会社北海道日建設計 監理:JR北海道、株式会社北海道日建設計 施工:株式会社大林組・加藤組土建JV ■材料データ 外装パネル:チタン t=1.0 ロールダル仕上(約1000㎡) パネル裏下地:SUS304 t=1.5 未研材 取付下地:スチールアングル(電気メッキ+サビ止め)全てボルト・ナットによる締付け施工 大時計パネル材:チタン t=1.5 酸洗仕上 |
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